

イタリア語や他のロマンス諸語はラテン語の影響を受けており、特にイタリア語はその面影を強く残しています。ラテン語はキリスト教会の公用語として使われ、グレゴリオ聖歌などに取り入れられました。この講座では音楽を通じてラテン語のテクストを読み、歴史や文化に触れながらラテン語の理解を深めます。ラテン語の基礎がある方が対象であるため、お申込前の事前連絡をお願いいたします。
午前
金曜日
¥34,000
東京大学文学部卒。ピサ高等師範学校・フィレンツェ大学留学。言語学・ロマンス語学専攻。東京大学名誉教授。
『音楽のラテン語』を担当する長神悟(ながみさとる)です。
東京大学・同大学院の言語学科で学び、歴史言語学・比較言語学に興味をもち、大学入学以前から学んでいたフランス語を含むロマンス諸語を研究対象に定めました。ロマンス諸語の母語にあたるラテン語の習得にも励みました。イタリア政府の給費を得てピサ高等師範学校に留学、ロマンス語文献学やイタリア語学の専門家から指導を受けました。帰国後、母校に創設されたイタリア文学科に職を得、その後、他の大学でも比較言語学やロマンス語学、イタリア語学などを講じ、数年前に定年退職しました。イタリア文化会館では『ラテン語入門』の講座も担当したことがあります。大学の専門課程に進学して以来、一貫してラテン語から現代のロマンス諸語に至る歴史に関心を抱いています。
音楽は専門ではありませんが、子供の頃からクラシック音楽に親しんできました。ピサに留学してまもなくの晩、あの有名な斜塔のある「奇跡の広場」に聳える大聖堂で催された音楽会に赴き、ヴィヴァルディのラテン語を歌詞にもつ声楽曲(たぶん『グローリア』や『マニフィカット』)に触れて、初めて聴くその壮麗な響きに驚いた記憶があります。昼間は薄暗い堂内にまばゆいほどの明かりがともされていたことも印象を強めました。『音楽のラテン語』の講座を担当することになる遠い端緒がそこにあったのかもしれません。
グレゴリオ聖歌以降、ラテン語を歌詞にもつ西洋音楽は膨大な量にのぼりますが、日本で一般に知られているのは、『レクイエム』や各種『ミサ曲』、あるいはオルフの『カルミナ・ブラーナ』など、ごく一部の楽曲のみです。本講座では、日本ではほとんど知られていない楽曲も取り上げ、その楽曲に付せられたラテン語の歌詞を講読します。
¥34,000